【ショーペンハウアーの箴言50】宗教は無知という母親の子供なり
【原文】
Religionen sind Kinder der Unwissenheit, die ihre Mutter nicht lange überleben.
【和訳】
この世には様々な宗教があるが、それらは、無知の子供であって、この子供達は、自分の母親(無知という母親)より長く生き延びることのない、そのような無知の子供達なのである。
【解釈と鑑賞】
前回の宗教に関する箴言では、近代国家は不完全であること、国家が何もかもすべてを取り仕切ることはできないことを言い、その間隙と、その間隙から漏れ落ちるものを掬い取るのが、宗教だということ、そして、それで、まあ近代国家もなんとか松葉杖たる宗教に頼って歩いて行けるということを言ったショーペンハウアーですが、今度はこの箴言では、その前言を否定するかのように、やはり思考する者に相応しく、その論理の振り子を逆に振って、この箴言の一行を書くのです。
この一行は一体何を言っているのでしょうか?
宗教という宗教は皆、無知の子供であると言っている。従い、母親が、無知というこの名前の母親なのです。
無知という母親よりも長生きができないという意味は、無知でなければ、また無知の中にとどまっている限り、その子供たる宗教は生きていられるということを意味するでしょう。
即ち、宗教は、無知から生まれたからです。
しかし、このことは、単に否定的な意味合いで言っているようにも思えません。
更に、しかし、他方、次の同じ宗教についての箴言を読むと、いやそうではないのかとも思います。
この一行の解釈や如何に。
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